テーマ
古文書にはさまざまな過去の情報が記録されています。それらの情報が、地震学、気候学、天文学などの科学研究をはじめ、歴史学以外の分野にも利用されてきました。これらの多種多様なデータを多角的な視点で統合解析することで、自然と人間の連関についての時系列的な分析が進み、新たな知見の創出が期待されます。しかし、古文書からの情報は現代の「ビッグデータ」と違った特性を持つため、それを統合解析に向けてどのように構造化するかが大きな課題となっています。
そのような背景の中、さまざまな分野の研究者より、これまで進められてきた古文書を利用した研究について紹介いただき、今後、「歴史ビッグデータ」をどう活用していくかについて意見交換を行います。
基本情報
日時 | 2018年3月12日(月) 13:30-18:00(13:00開場) |
会場 | 国立情報学研究所 1208/1210会議室 |
参加登録 | 参加費は無料、定員は約80名です。事前登録をお願いします。 |
言語 | 講演はすべて日本語です。 |
主催 | 情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 人文学オープンデータ共同利用センター(CODH) |
研究プロジェクト |
若手研究(B)16K16350 日本の歴史天候記録による19世紀前半以降の夏季気温変動の復元(代表:平野淳平) 基盤研究(B)16H03116 19世紀の全国灯台気象観測記録にもとづく天気図と台風経路の復元(代表:財城真寿美) |
企画 | 増田耕一(首都大学東京・客員教授)、庄 建治朗(名古屋工業大学・助教)、平野淳平(帝京大学・講師)、市野美夏(CODH) |
参加登録
2018-03-12
セミナーは終了しました。参加者は96名でした。ご参加ありがとうございました。
2018-01-30
事前登録の受付を開始しました。
プログラム
13:00 | 開場 | |
13:30-13:45 | 歴史ビッグデータと歴史的状況記録 | 北本 朝展(CODH/NII)、 市野 美夏(CODH) |
13:45-14:15 | みんなで翻刻と古地震研究 | 加納 靖之(京都大学防災研究所) |
14:15-14:45 | 古文書調査と自然現象 | 吉川 聡(奈良文化財研究所) |
14:45-14:55 | 休憩 | |
14:55-15:25 | 古文書の気象・災害記録をどう活かすか―仙台・宮城での史料保全をふまえて | 佐藤 大介(東北大学災害科学国際研究所) |
15:25-15:55 | 株井戸-気候復元を活用した地下水管理制度の研究― | 遠藤 崇浩(大阪府立大学) |
15:55-16:25 | 近世日本の中央市場と気候変動 | 柴本 昌彦(神戸大学経済経営研究所) |
16:25-16:35 | 休憩 | |
16:35-16:55 | 古気候復元のための日記天気記録の定量化に向けて | 庄 建治朗(名古屋工業大学) |
16:55-17:25 | ミレニアム大気再解析への挑戦〜古日記に記載された天気情報のデータ同化〜 | 芳村 圭(東京大学生産技術研究所) |
17:25-18:00 | ディスカッション | 講演者全員 |
なお18:30-20:30には、別会場にて情報交換会を開催します。参加費は5000円(学生1000円)を予定しています。
発表概要
当日の発表資料は、原則として人文学研究データリポジトリで公開します。
歴史ビッグデータのコンセプト、特に現代との連続性について論じるとともに、「歴史的状況記録」のデータベースが果たすべき役割を考察する。
市民参加型の地震史料翻刻プロジェクトである「みんなで翻刻」と過去の地震を調べる古地震研究について紹介します。
近畿の古寺社の未整理文書を調査する中で目にした、自然現象に関係する資料を紹介します。
報告者は、江戸時代の研究者として、また地域の史料保存に関わる立場として、主に南奥羽の気象に関わる記録に触れる機会を得てきた。いくつかの具体的な事例を紹介するとともに、分野を超えた協業のための解決すべき課題について、個人的な見解を述べたい。
1700年代末、濃尾平野の輪中地帯で自噴井が普及した。それは一つの輪中内の高所地域(上郷)の水利を安定させる一方、低所地域(下郷)に外部不経済-排水集積による湛水被害-を与えたため、輪中内部で井戸をめぐる紛争が生じた。株井戸とはこの紛争緩和を図る水利慣行である。本報告では日記に記された天気データを活用し、干ばつが株井戸の発達を促した一因であることを明らかにする。そしてその上で地下水管理制度としての株井戸の特徴を考察する。
江戸時代が閉鎖経済であること・農業経済であること・大坂米市場という中央市場を有したことを鑑みると、冷夏などによって米穀生産が打撃を受ければ、中央市場の米価が高騰し、それが全国へと波及して米穀の消費者(都市生活者など)に打撃を与えるといった市場メカニズムが背後にあったと考えられる。本報告では、新たに得られた気候データと江戸時代の市場データを用いて、当時の市場メカニズムを通じた米市場に与える影響に関する数量的評価を行う。分析結果によると、市場メカニズムを通じた米価への影響は甚大であったことが明らかとなった。このことは、当時の幕府にとって米市場の安定が経済全体の安定のための重要な政策目標であったことを示唆している。
観測時代の日記天気記録と気象観測データを照合することにより、天気記録の精度や天気判断基準の記録者間の差異を分析し、天気記録を定量化する手法について検討する。
古天気情報と数値気象モデルをどう融合させられるのか、また融合によってどんな付加価値がでてくるのか、お話します。
講演者概要
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