デジタル技術の活用により、新しい歴史学を生み出すことを目指すのが「デジタル・ヒストリー」である。人文学のデジタル技術による変革を目指す「デジタル・ヒューマニティーズ」の一つの分野でもある。デジタル技術の活用は多岐に渡るが、CODHでは複数のアプローチでこの問題に取り組んでいる。
地理情報
歴史GISは、歴史学を地理の観点から扱うために重要な技術である。
また、歴史ビッグデータでは、歴史情報で重要な様々なエンティティのデータベース化を進めている。
非文字資料
古地図や古写真などの非文字資料を歴史研究に活用するための方法を確立する。
また非文字資料を歴史資料として活用するための「デジタル史料批判」の方法論についても研究を進めている。
一方、実世界をデジタル空間に記録し、その上で様々な分析を行う3次元デジタルアーカイブの技術も重要である。
パブリック・ヒストリー
デジタル技術を活用する一つのメリットは、研究の様々なプロセスに市民が参加しやすくなるという点にある。市民がフィールドワークやアンケートなどの調査に参加する、市民がデータを構築したり解析したりする、市民が研究成果について議論したり社会実装したりする、といったプロセスをデジタルプラットフォーム上で展開することにより、研究者と市民がプラットフォームを共有しながら活動を展開することができる。
データ構造化
デジタル化した史料から研究に必要な情報を抽出し、機械可読データとして構造化する作業は、デジタル・ヒストリーの最初のプロセスとして重要である。日本の史料に対して、くずし字OCRの研究を進めている。
また史料に対するアノテーションとして、IIIF Curation Platformの研究や、武鑑全集のためのデータ構造化、あるいはみんなで注釈【安政江戸地震史料】の活用などを進めている。
知識表現
歴史は多くの情報のつながりを解釈し、史実を明らかにすることを目指しています。したがって、情報のつながりをどう表現するかが重要な課題であり、Linked Dataを基盤とした歴史知識の表現を進めている。