伊勢物語

正徹(一三八一〜一四五九)の永享五年(一四三三)の奥書を有する『伊勢物語』の写本である。ただし、この奥書は写しであるため、実際の書写年代はやや下ると考えられる。行間には、漢字片仮名交じりで注釈が書き入れられており、この書き入れは本文と同筆かと思われる。その注釈内容は、冷泉家流の古注と認められる。また、本文の上部に、講釈を行った日時を記したと思われる書き入れが数ヶ所に残されており、長享二年(一四八八)二月から延徳(一四八九〜九二)にかけての日付が見られる。この時期に正徹は既に没しているため、正徹本を使用しながら講釈を行ったと解すべきである。講釈内容とそれを行った日時とがはっきりと分かる点が、本書の特徴と言える。鉄心斎文庫所蔵伊勢物語図録【第5集】。(松本)

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書誌情報(メタデータ)

項目 内容
DOI doi:10.20730/200024296
国文研書誌ID 200024296
統一書名 伊勢物語
統一書名よみ いせものがたり
刊写の別
記載書名連番 記載書名表記 記載書名よみ 記載書名種別 1 伊㔟物語 いせものがたり 外・帙
書写連番 書写者 書写年 書写表部編等 1 正徹 永享5
オープンデータ分類 日本文学(伊勢物語)
作品通番 718
親子構造 単独
書誌種別 W
コレクションID 3045050
コレクション略称表記 国文研鉄心斎
著作ID 157
形態 110丁,25.6×18.7cm,半
冊数 1冊
注記 〈形〉列帖装,補修あり。〈奥〉根源本第二系統奥書・業平官歴・武田本奥書・為相奥書・(奥書)「此写本為秀卿以自筆不違一字書/写所持之本也依数奇志深重而許/書写申処可加愚筆由所望之間/端三丁半書之朱墨之注不違相/伝者也/永享五年三月日 記(室)司正徹 在判」。〈書〉集付・勘物・巻末勘物・付注・朱筆声点・章段冒頭に朱筆長点あり。〈伝〉(印記)「鉄心斎文庫」。
原資料請求記号 98-170
解題 正徹(一三八一〜一四五九)の永享五年(一四三三)の奥書を有する『伊勢物語』の写本である。ただし、この奥書は写しであるため、実際の書写年代はやや下ると考えられる。行間には、漢字片仮名交じりで注釈が書き入れられており、この書き入れは本文と同筆かと思われる。その注釈内容は、冷泉家流の古注と認められる。また、本文の上部に、講釈を行った日時を記したと思われる書き入れが数ヶ所に残されており、長享二年(一四八八)二月から延徳(一四八九〜九二)にかけての日付が見られる。この時期に正徹は既に没しているため、正徹本を使用しながら講釈を行ったと解すべきである。講釈内容とそれを行った日時とがはっきりと分かる点が、本書の特徴と言える。鉄心斎文庫所蔵伊勢物語図録【第5集】。(松本)

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