武鑑全集

武鑑全集とは?

概要

江戸時代の200年続いたベストセラーである『武鑑』を網羅的に解析し、江戸時代の大名家や幕府役人に関する人物・地理情報などの中核的情報プラットフォームを構築するプロジェクトです。ソフトウェア開発では一般的な「差分を読む」という差読(differential reading)技術を導入することで、多数のバージョンに対する網羅的な解析を試みます。

将来的にはより多くの『武鑑』を対象とした解析を行う計画ですが、まず手始めに日本古典籍データセットで公開する寛政武鑑(1789)を分析することで、この中にどんな情報があって、それがどのように活用できるかを探ります。

なお、CODHと国文学研究資料館が協働して公開する「日本古典籍データセット」には、2017年12月現在381点の『武鑑』が含まれています。その他の『武鑑』もお楽しみ下さい。

ニュース

  • ニコニコ超会議「超みんなで翻刻してみた2018」で武鑑全集を紹介しました

  • 2018 4/28

ニコニコ超会議「超みんなで翻刻してみた2018」で武鑑全集を紹介しました。ニコニコ生放送でも50分ほどお話しました。周囲はかなり賑やかでしたが、何人かの方々は足を止めて聞いて下さいました。

当日の様子は、新聞記事「ニコニコ超会議2018」サブカルカオスの中で科学技術は輝くか (ニュースイッチ Newswitch)でも紹介されています。

  • 見て楽しむ大名家デザイン集「紋・道具」が登場

  • 2018 4/27

武鑑全集」に、見て楽しむ大名家デザイン集「紋・道具」が登場しました。『武鑑』は江戸時代の200年にわたって続いたベストセラーで、江戸時代の大名家や幕府役人に関する基本情報を網羅しています。その中には文字情報だけでなくビジュアルな情報も含まれます。例えば家紋のような紋や、行列道具のような道具など、いずれのデザインも大名家を象徴する役割を担ってきました。そして『武鑑』を携えた人々は、大名行列のデザインを本と見比べながら、どこの大名家の行列かを見分けるなどしていました。つまり『武鑑』のビジュアルな情報は、ガイドブックのような実用的な目的にも使われていたのです。

こうしたビジュアル情報を、どのように整理すればよいでしょうか。

我々はCODHで開発を進めるIIIF Curation Viewerを活用しました。IIIF Curation Viewerは、IIIF (International Image Interoperability Framework)という国際的に普及しつつある画像アクセス方法に基づき、画像を切り取って集めるという「Cut and Paste」を画期的に簡単化したソフトウェアです。我々は寛政武鑑(1789)を対象に、紋や道具などの領域を切り取り、集め、大名家ごとや種類ごとなど様々な切り口から、『武鑑』を再編集(キュレーション)しました。これは、国文学研究資料館が公開する日本古典籍オープンデータを、再編集して新たなプラットフォームに載せるという試みでもあります。

「紋・道具」を種類ごとに一覧していくのも面白いですが、今回は新しい切り口として色ごとに一覧を用意しました。この機能を実現するために、紋・道具に添えられているテキストを翻刻し、色や素材等の項目ごとに構造化した上で、色辞典に基づき色名をRGBに変換しました。『武鑑』は残念ながら一色刷なので、『武鑑』だけでカラーを完全に再現するのは難しいですが、一色がわかるだけでも紋・道具の実在感が高まってくるのではないでしょうか。この作業はまだ完了していないため、今後さらに充実させていきたいと考えています。

このような試みの先に、どんな世界を実現できるでしょうか。

まず、武鑑のデータをさらに使いやすい形式に変換したいと考えています。例えば紋などは、SVG等を用いてベクトルデータ化し、それをオープンデータとしてシェアできれば、その素材は様々な目的に再利用しやすくなります。また道具などは2次元ではなく3次元ですが、3Dモデルをオープンデータとしてシェアできれば、3Dプリンターを使って自分で制作することもできるでしょう。このようなトレース作業は、ネットを活用した参加型プロジェクト(みんなでトレース)として進められればいいなと思っています。

次に、武鑑のデータを組み合せた新たな世界の創造です。現在利用している寛政武鑑(1789)には264もの大名家のデータが揃っており、その多様性自体にコンテンツ素材のデータベースとしての価値があります。例えば264家のデータをより詳細に分析すれば、大名家デザインの特徴がわかってくるかもしれませんし、あるいは過去の大名行列を再現するといった歴史的景観の再現につながるかもしれません。一方、過去の世界にインスパイアされた発想を現代の世界観に移して表現すれば、ゲームやキャラクタ、コンテンツ等などの領域で様々な展開ができそうで、オープンデータを基盤とした創作の世界への夢も広がっていきます。

最後に、こうして新たに創造された世界を日本文化の見直しにつなげていくことが大きな課題です。江戸時代の日本は、それぞれの地域が一国を構え、曲がりなりにも独立した文化をはぐくんできた世界でした。これは東京のような大都市に活動が集中する現代の日本とは大きく異なります。かつてそこに存在した文化を、情報技術を用いて改めて掘り起こす活動を進めること。それが将来的には「文化的根拠に基づく地方創生」につながっていくかもしれません。

定紋

行列道具

帆幕

  • 「武鑑全集」を公開しました

  • 2017 11/9

江戸幕府の「大政奉還」から150周年の日を記念して、Edo+150プロジェクト武鑑全集くずし字チャレンジ!を公開しました。

協力

参考図書・ウェブサイト

  • 国史大辞典,吉川弘文館, 1979年3月1日~1997年4月1日
  • 日本歴史地名大系, 平凡社, 1979年9月20日~2004年10月20日
  • 日本城郭体系
  • 江戸三百藩 城と陣屋総覧 東国編・西国編, 学習研究社, 2006年
  • 角川新版日本史辞典, KADOKAWA, 2013年第8版
  • 編年江戸武鑑 文化武鑑1, 柏書房, 1981年
  • 日本国語大辞典 第二版, 小学館, 2000〜2002年
  • 日本の色辞典, 吉岡幸雄, 紫紅社, 2000年
  • 武鑑出版と近世社会, 藤實久美子, 東洋書林, 1999年
  • 和色大辞典(原色大辞典)
  • 和の名前と色見本(和の色)

ライセンス

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
武鑑全集」(情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 人文学オープンデータ共同利用センター制作) 「日本古典籍データセット」(国文学研究資料館所蔵)を翻案 はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンス(CC BY-SA)の下に提供されています。

ご利用の際には、例えば以下のような表示をお願いします。

「武鑑全集」(CODH制作) 「日本古典籍データセット」(国文研所蔵)を翻案

また可能な場合には、データ提供元である人文学オープンデータ共同利用センターへのリンクをお願いします。

提供:人文学オープンデータ共同利用センター