“IIIF Curation Board”は、IIIF Curation Viewerなどで作成したキュレーションのホワイトボードツールである。
キュレーションを構成する画像(以下「構成画像」という。)を平面上に自由に配置し、構成画像のグルーピングを補助する機能を提供する。
本ツールは、IIIF Curation Viewerをベースとして、キュレーションとして収集した画像の関係性整理や発想支援等を行う用途に特化して機能を加除している。この文章では、本ツール固有の内容を中心に記述する。
目次
動作デモ/活用例
使い方
キュレーションの指定
IIIF Curation Viewerと同じく、GET引数(パラメータ名:curation)の指定やドラッグ&ドロップ、ペースト(貼り付け)により、操作対象とするキュレーションのURLを指定する。
IIIF Curation Managerに用意された本ツールへのリンクを用いても良い。
また、IIIF Curation Viewerでキュレーションを閲覧している場合、ウェブブラウザのアドレスバーに表示されているURLを本ツールへドラッグ&ドロップやペーストしても良い。
構成画像のサムネイルが平面上に配置して表示される。
平面配置
構成画像は、サムネイルをクリックして選択し、ドラッグ&ドロップすることによって、平面上の自由な位置に配置できる。
本ツールでは、構成画像に加えて、グルーピングや整理を補助する「付箋」や「下敷き」を配置できる(後述)。以下、これらを「アイテム」という。
選択を全解除するには、平面上の何もない場所をクリックする。
複数選択
複数のアイテムを対象として操作を行いたい場合、画面左上の範囲選択()ボタンを押下し、マウスをドラッグして範囲を指示することによって、選択範囲に含まれるアイテムを選択できる。
選択範囲に含まれるか否かの判定は、アイテム左上隅の位置を基準として行われる。
また、Shiftキーを押下しながらアイテムをクリックすることにより、他のアイテムの選択状態を維持したまま、クリックしたアイテムの選択状態を切り替えられる。Shiftキーを押下しながらの範囲選択も同様に動作する。
例1: 構成画像①②③を選択した状態で、構成画像④をクリック → 構成画像④のみが選択された状態になる。
例2: 構成画像①②③を選択した状態で、Shiftキーを押下しながら構成画像④をクリック → 構成画像①②③④が選択された状態になる。
例3: 構成画像①②③を選択した状態で、Shiftキーを押下しながら構成画像③をクリック → 構成画像①②が選択された状態になる。
整列と分布
アイテムを右クリックして表示されるコンテクストメニューから、アイテムの整列や分布等が行える。
左揃えコンテクストメニューを表示させたアイテムの位置を基準として、各アイテムの左端が揃うように移動する。
上揃えコンテクストメニューを表示させたアイテムの位置を基準として、各アイテムの上端が揃うように移動する。
グリッドに整列平面上にグリッド(一定の間隔の格子点)を想定し、各アイテムの左上隅が最寄りの格子点に一致するように移動する。
垂直方向上に分布垂直方向で最も上にあるアイテムと最も下にあるアイテムの上端を基準として、各アイテムの上端が等間隔に分布するように移動する。
水平方向左に分布水平方向で最も左にあるアイテムと最も右にあるアイテムの左端を基準として、各アイテムの左端が等間隔に分布するように移動する。
垂直方向等間隔に分布垂直方向で最も上にあるアイテムと最も下にあるアイテムの上端を基準として、各アイテムの垂直方向間隔が等しく分布するように移動する。
水平方向等間隔に分布水平方向で最も左にあるアイテムと最も右にあるアイテムの左端を基準として、各アイテムの水平方向間隔が等しく分布するように移動する。
グルーピング・整理補助
構成画像のグルーピングや整理を補助する「付箋」、「下敷き」、「シール」の機能を利用できる。
付箋
平面上でグループ化した構成画像の集まりに対し、グループ化の意図や自由なメモを表すものとして、「付箋」を配置できる。
付箋を追加するには、画面左上の付箋()ボタンを押下し、追加したい場所でクリックする。
追加後は、付箋内の何もない部分をクリックすることで選択でき、構成画像と同じように、ドラッグ&ドロップによって位置を変更できる。
付箋は、テキスト部分をクリックすることで、文字列を編集できる。
付箋を削除するには、付箋右上の削除()ボタンを押下する。
下敷き
平面上でグループ化した構成画像の集まりに対し、その範囲を示すものとして、「下敷き」を配置できる。
下敷きを追加するには、画面左上の下敷き()ボタンを押下し、追加したい場所でクリックする。
追加後は、下敷き左上の丸印()をクリックすることで選択でき、構成画像と同じように、ドラッグ&ドロップによって位置を変更できる。
下敷きは、右下隅をドラッグすることにより、サイズを変更できる。
下敷きを削除するには、下敷き右上の削除()ボタンを押下する。
シール
構成画像をグルーピングする際、作業過程の心覚えやグループ化の目印として、「シール」を貼ることができる。
シールを貼るには、構成画像または付箋を選択し、右クリックして表示されるコンテクストメニューから、追加したいシールを選択する。シールは、一つの色につき一枚、複数色(最大5色)貼ることができる。
シールは、情報表示(後述)が有効になっている場合のみ表示される。
シールを剥がすには、構成画像または付箋を選択し、右クリックして表示されるコンテクストメニューから、剥がしたいシールを選択する。
情報表示
構成画像について、マニフェストに基づく情報、シール、メタデータ等の情報を表示できる。
情報を表示するには、画面左上の情報表示()ボタンを押下する。非表示にするには、同ボタンを再度押下する。
情報表示時は、画面右上に情報表示ボックスが表示され、構成画像にマウスを重ねると、そのメタデータ等が表示される。いずれかの構成画像を選択している場合、情報表示ボックスの表示内容はロックされ、他の構成画像にマウスが重なっても、表示内容は維持される。
メタデータ一括付与
平面上でグループ化した構成画像の集まりに対し、一括してメタデータを付与できる。
一括してメタデータを付与するには、構成画像を選択し、右クリックして表示されるコンテクストメニューから、「メタデータ付与」を選択する。「メタデータ付与」画面が表示され、Label/Valueのペアを設定できる。
本ツールでは、付与済みメタデータ項目の編集や削除は範囲外としている。
キュレーションのエクスポート
構成画像の平面配置や、グルーピング補助機能、メタデータ一括付与機能を用いて設定した付加情報は、画面上部の「上書き更新」ボタンにより、キュレーションデータに含めて、サーバに保存できる。
付加情報が設定されたキュレーションを本ツールで表示した場合、構成画像の平面配置等が再現される。必要に応じて、編集と保存を繰り返すことができる。
部分エクスポート
構成画像の一部分のみを新規キュレーションとしてエクスポートすることもできる。
部分エクスポートを行うには、アイテムを選択し、右クリックして表示されるコンテクストメニューから、「部分エクスポート」を選択する。部分エクスポートされたキュレーションデータは、新規タブで表示される。
SVG出力
平面配置機能やグルーピング補助機能を用いて設定した付加情報のイメージをSVGファイルとして出力できる。
本ツールでの作業状況について、プレゼンテーション資料等に用いるための出力として、本ツールでは対応していない高度なレイアウトや、情報の書き込み、関係性の図示などは、SVGファイルを編集可能な画像編集ソフトで行うフローを想定している。
SVG出力を行うには、画面上部の「SVG」ボタンを押下する。SVG出力は、ズームイン/ズームアウトの段階が初期状態と同じときのみ利用可能である。
構成画像は、SVGファイル内にデータとして埋め込まれるが、セキュリティ上の制約により埋め込みが不可能である場合(構成画像の提供サーバによってCORSヘッダが設定されていない場合)は、リンクとして保存される。
高度利用者向け機能
構成画像サムネイル表示サイズ
構成画像のサムネイルは、通常、一定の幅・高さに内接するように拡大縮小して表示される。GET引数を指定することにより、必要に応じて、この拡大縮小ロジックを変更できる。
GET引数指定 | 動作 |
---|---|
(未指定) | 一定の幅・高さに内接するように拡大縮小して表示 |
tnsize=full | 元のサイズで表示 |
tnsize=sizebyw | 一定の幅(高さはアスペクト比を保って拡大縮小)で表示 |
tnsize=sizebyh | 一定の高さ(幅はアスペクト比を保って拡大縮小)で表示 |
備考
動作対象
本ツールで対応するキュレーションは、Timeline拡張を除くものとする。
また、キュレーションを構成する画像について、IIIF Image API非対応リソースである場合や、IIIF Image APIの準拠レベルが十分でない場合は、完全な動作は保証しない。
アノテーションビューモード専用キュレーション
IIIF Curation Viewerのアノテーションビューモード専用キュレーション指定がなされているキュレーションであっても、本ツールではアノテーションビューモードでの表示とはならない。
また、アノテーションメタデータの圧縮記法で記載されたアノテーションビューモード専用キュレーションについては、アノテーションが付与された対象キャンバスを構成画像としてサムネイルが表示される。
ライセンス
IIIF Curation Board v2.0
http://codh.rois.ac.jp/software/iiif-curation-board/
Copyright 2020 Center for Open Data in the Humanities, Research Organization of Information and Systems
Released under the MIT license
Core contributor: Jun HOMMA (@2SC1815J)
Licenses of open source libraries, see acknowledgements.txt
開発履歴
バージョン2.0 (2024-11-11)
- IIIFキュレーションURLのドラッグ&ドロップ、ペースト対応を改良。
バージョン1.1 (2024-08-27)
- IIIF Presentation API 3.0のマニフェスト表示に対応。
バージョン1.0 (2020-09-17)
- 最初のバージョンを公開。