巻末に藤原定家の武田本奥書を記した後、貞治四年(一三六五)に冷泉為秀が将軍足利義詮に藤原定家筆の伊勢物語を献上した際に書き写し、手許に留めた本であるとの奥書を持つ。本書はその転写本。八月一日(朔日)の日付からみて、八朔という付き合いのある者同士で贈り物を贈り合う当時の贈答儀礼によるものであろう。贈答とはいえ、上位の権力者からの「催促」とあっては苦渋の決断であったことが想像される。定家筆の武田本は今日に伝わらないが、この記事によれば冷泉家から室町将軍家に献上され、さらに後柏原天皇や細川幽斎の手許にあったことが他の伊勢物語の奥書から知られている。武田本の伝来を知るうえで貴重な資料である。鉄心斎文庫所蔵伊勢物語図録【第1集】。(加藤)
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書誌情報(メタデータ)
項目 | 内容 |
---|---|
DOI | doi:10.20730/200024139 |
国文研書誌ID | 200024139 |
統一書名 | 伊勢物語 |
統一書名よみ | いせものがたり |
刊写の別 | 写 |
記載書名連番 記載書名表記 記載書名よみ 記載書名種別 | 1 伊㔟物語 いせものがたり 帙 |
書写連番 書写者 書写年 書写表部編等 | 1 二条/為重 |
オープンデータ分類 | 日本文学(伊勢物語) |
作品通番 | 705 |
親子構造 | 単独 |
書誌種別 | W |
コレクションID | 3045050 |
コレクション略称表記 | 国文研鉄心斎 |
著作ID | 157 |
形態 | 59丁,24.9×16.7cm,半 |
冊数 | 1冊 |
注記 | 〈写〉伝二条為重筆,正徳元年古筆了音の極書・極目録あり。〈形〉列帖装,厚紙芯金地文様金襴表紙,金箔雲霞に金泥草花文見返し。〈奥〉武田本奥書・(奥書)「貞治四年八月一日於今年者尤(…)従三位藤原為秀」。転写本。〈書〉勘物あり。〈伝〉(印記)「鉄心斎文庫」。 |
原資料請求記号 | 98-5 |
解題 | 巻末に藤原定家の武田本奥書を記した後、貞治四年(一三六五)に冷泉為秀が将軍足利義詮に藤原定家筆の伊勢物語を献上した際に書き写し、手許に留めた本であるとの奥書を持つ。本書はその転写本。八月一日(朔日)の日付からみて、八朔という付き合いのある者同士で贈り物を贈り合う当時の贈答儀礼によるものであろう。贈答とはいえ、上位の権力者からの「催促」とあっては苦渋の決断であったことが想像される。定家筆の武田本は今日に伝わらないが、この記事によれば冷泉家から室町将軍家に献上され、さらに後柏原天皇や細川幽斎の手許にあったことが他の伊勢物語の奥書から知られている。武田本の伝来を知るうえで貴重な資料である。鉄心斎文庫所蔵伊勢物語図録【第1集】。(加藤) |
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