HIMIKOとは
テキストや画像などの歴史史料から、そこに描かれた歴史的「事実」を抽出し、データとして構造化することは、デジタル・ヒストリー研究が歴史事象そのものの分析や解釈に踏み込むうえで不可欠なプロセスです。そのためにHIMIKO(Historical Micro Knowledge and Ontology)プロジェクトは、史料において言及される具体的な出来事や状況、ヒトやモノの関係性などに関わる微細な記録を「歴史マイクロナレッジ」として捉え、これを知識グラフとしてデータ構造化することを目指します。史料の内容を細部にわたって精緻にデータ化し、それらを広範にリンクすることによって、その詳細な意味内容や史料内外の知識を豊かに表現する新たなデータモデルを提案します。これにより、歴史研究者はデータに基づく史料分析を従来にない精度で行うことが可能になり、新たな発見や解釈の可能性が広がります。
HIMIKO Graph Editor
知識グラフ構築にあたって大きな問題になるのが、データ構築の過程における技術的な障壁です。HIMIKOはデータモデルに加えて、テキストや画像といった史料に基づくデータ構築を支援するためのツールセットを提供します。
HIMIKO Graph Editorは、グラフエディタによる直感的な知識グラフ記述を軸として、構築された知識グラフをIIIF画像やTEIテキストの注釈、キュレーション、位置情報と接続するリンキング機能を実装しています。また、データ構築に際して用いる語彙やスキーマについても、ユーザが任意に設定し、目的に合ったデータを作成することが可能です。
HIMIKO Graph Editorによって、複雑なデータモデルの理解や高度なデータ入力スキルを身につけていない史料の専門家がデータ作成に取り組むことのできる環境を整備し、史料の「深い」内容にまで踏み込んだ歴史データの蓄積を推進していきます。
発表文献
- 小川 潤, 北本 朝展, 大向 一輝, 歴史マイクロナレッジの提唱とHIMIKO(Historical Micro Knowledge and Ontology)システムの実装, 人文科学とコンピュータシンポジウム じんもんこん2023論文集, pp. 105-112, 2023年12月 [ Paper ]
- 小川 潤, HIMIKO:歴史史料記述を知識グラフとして表現する試み, 第1回 ヒストリーテック勉強会, doi:10.20676/00000418 2023年11月
ニュース
2024-07-04
HIMIKO Editor for Image(β版)とHIMIKO Editor for Text(β版)を統合し、HIMIKO Graph Editorとしました。
2024-04-26
HIMIKOプロジェクトから、HIMIKO Editor for Text(β版)を公開しました。
2024-04-04
HIMIKOプロジェクトから、HIMIKO Editor for Image(β版)を公開しました。