江戸マップβ版について

江戸マップβ版は、江戸の古地図など江戸時代の文書から情報を抽出し再構成することで、江戸都市空間の地理情報基盤を構築するプロジェクトです。試験公開として、28枚の地図から8357ヶ所の地名を抽出してデータベース化しました。国立国会図書館が公開する古地図「江戸切絵図」などに対して、IIIF Curation Platformの仕組みを用いて様々な情報を統合することで、歴史ビッグデータ歴史GISの研究に活用します。

試験公開では、国立国会図書館が公開する江戸切絵図から地名を抽出し、ウェブサイトに一覧を表示するとともに、IIIF Curation Viewerで可視化する機能を公開します。地名を抽出する作業にはIIIF Curation Viewerのキュレーション作成機能を活用し、地名の可視化にはIIIF Curation Viewerのアノテーション表示機能を利用しています。

作業内容

江戸マップβ版は試験公開中で、以下の制限があります。

  1. 全32枚のうち、作業をおこなったのは28枚です。残りの4枚のうち3枚は、既存の地図と重なるエリアを扱っているため、当面は作業対象から除外します。残る1枚はデジタル化待ちです。
  2. 作業をおこなった28枚の中でも、まだ作業が完了していない地名があります。
  3. 地名として抽出する対象は、一部の分類に限定しています。また屋敷名は数が多いため、重要なものに絞って抽出しています。

作業方針

  1. 江戸切絵図は、国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されているものを使用した。(著者:景山致恭,戸松昌訓,井山能知//編、出版社:尾張屋清七、出版年月:嘉永2-文久2(1849-1862)刊)
  2. 「翻刻」欄には切絵図の記載内容をそのまま翻刻した。ただし、誤字と思われる文字についてはそのまま入力した。
  3. 「現代語訳」欄は、原文を現代語訳したものを入力した(例.「◯◯丁」→「◯◯町」。「◯◯イナリ」→「◯◯稲荷」)。また、異体字・旧字は常用漢字に改めた。
  4. かすれ等で判読不明の文字は、参考文献を参照した。それでも不明な場合は、「□」と「[ ]」で示した。
  5. 判読不明な文字は、文字数が不明な場合は「[ ]」を、文字数が分かる場合は「□」で表した。なお、推測した文字は「ヵ」と表した。
  6. 分類は、分類表の通りとした。
  7. 「小屋敷」や「小役人」「医者」といった記載は切り取っていない。
  8. 固有名詞ではないものは切取りを行っていない。(例.切取あり:「◯◯河岸」や「◯◯稲荷」。切取なし:「河岸」「稲荷」)
  9. 「◯◯町」「一丁目」のように、町域が2つに別れている場合は、一つの領域として切り取った。
  10. 切絵図に記号が記されている場合は(例.「◯〜町ト云」)、原文のまま記載した。
  11. 辻番、木戸、高札、坂、鳥居などの記号も切り取りを行った。「現代語訳」欄には記号を名記し、丸括弧で囲った(例.「(辻番)」)。ただし、同所に文字と記号が記されている場合は文字のみ切り取った(例.神社名+記号の鳥居→神社名のみ)。
  12. 「同」が複数連なって記載されている場合は、中心点の一箇所を切り取り、その他は切り取らなかった。また、飛び地のようになっている場合は、個別に切り取りを行った。
  13. 区画の色が赤色(寺社仏閣)であれば、人名のみでも切り取りを行った。
  14. 原本(翻刻)の情報が誤っているものは、正しい情報を「現代語訳」欄に記入した。
  15. 文字情報と建物の図が離れて記されている場合、建物本体や門を切取り、文字情報は翻刻欄・現代語訳欄「( )」内に記した。複数の文字情報がある場合は、「/」で区切った。
  16. 「◯◯屋敷」となっている箇所は、すべて分類「屋敷地」とした。また、過去に屋敷地となっており、切絵図製作時に町屋(地名として「◯◯屋敷」)となっている箇所に関しても、今回は分類を「屋敷地」に統一した。
  17. 「◯◯店」とあるものの中で、『日本歴史地名大系』で地名と確認できたものは、分類を「地名」とした。

地図の凡例

分類 内容
施設 御城、御用地、御用屋敷、御役屋敷、門、河岸、馬場、囚獄、銀座、蔵、木戸、火除地、揚地、◯◯組、同心など
屋敷地 「(紋)」、「●」、「■」、「◯◯屋敷」(組屋敷・添屋敷など)
寺社仏閣 「門」(寺社仏閣の一部である場合のみ)、人名(切絵図原本の背景が赤色・「◯◯神職」などと記載がある場合)
店名 植木屋、「◯◯屋」、「◯◯店」など
地名 「◯◯辻」、「◯◯通り」、「◯◯道」、橋、渡、新田、清水、上下水など
町名 「◯◯丁」、「◯◯町」、「◯◯門前」、「◯◯町蔵地」、町屋など
海川池 「◯◯池」、「◯◯渕」
観光地 石碑、「一本桜」、観光情報など
その他

参考文献

  1. 国史大辞典、吉川弘文館、1979年3月1日~1997年4月1日
  2. 日本歴史地名大系、平凡社、1979年9月20日~2004年10月20日
  3. 復元・江戸情報地図、吉原 健一郎 (編集)、 俵 元昭 (編集)、 中川 恵司 (編集)、朝日新聞社、1994年10月
  4. 日本国語大辞典 第二版、小学館、2000〜2002年
  5. 角川新版日本史辞典、KADOKAWA、2013年第8版
  6. 江戸切絵図集成 第4・5巻 (尾張屋板 上下)、斎藤直成編、中央公論社、1982年

地名リンク

江戸マップを中心として、様々な史料を地名でリンクしていく計画です。これまでのところ、以下の史料とリンクしています。

武鑑全集

武鑑全集においてまとめる大名家の上屋敷や菩提寺とリンクしています。現在のところ、上屋敷は241件、菩提寺は179件をリンクしています。なお、リンク対象の『寛政武鑑』と江戸切絵図は時代が異なるため、移転後の場所にリンクしている場合があります。

メンバー

総括・ウェブ
北本 朝展(ROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター/国立情報学研究所)
データ作成
合同会社AMANE