画像・写真・三次元といった視覚資料を、研究のためのデータとしてどう作り、どう流通させ、どう分析するかをまとめる。
2 画像と視覚資料
下位の章
- 2.1 資料をさがす・集める 研究の出発点として、資料をどう見つけ、どう集めるか。機関をまたぐ横断検索、アーカイブの探し方、そして何を集めるかの判断 —— 悉皆を目指すのか標本でよいのか。集めた範囲が後の結論を規定すること。
- 2.2 画像の流通基盤 IIIF とは何か。Image API と Presentation API を中心とした構成、マニフェスト、そして機関をまたいで資料を並べて見るということ。相互運用がもたらす変化と、その前提として何を揃える必要があるか。
- 2.3 部分を切り出す 画像の一部を切り出して集め直す。何を単位に切るか、キュレーションリストとして何を記述するか、アノテーションをどう付けるか、マイクロコンテンツ化とは何をすることか。多人数で集合的に集めるやり方。IIIF Curation Finder による横断検索と Canvas Indexer による索引化、 facetsEndpointUrl を用いた統計的な集計、そして既存キュレーションから派生キュレーションを作成する手順と意義。これらの検索・集計・派生の仕組みが、部分を切り出して集め直すという作業をどう支えるか。
- 2.4 文字を読む 画像に写った文字を読む。くずし字認識と OCR、版面とレイアウトの解析、字形そのものの比較と分類、そして認識精度をどう測るか。認識結果には誤りが残るという前提でどう使うか。判読して活字に起こす翻刻の作業と、原文の字体や誤字をどこまで残すかという判断。
- 2.5 写真という資料 写真を資料として扱う。同一構図撮影という手法、参照写真の役割、古写真の同定、共時的な写真と通時的な写真の違い。撮影を支援する仕組み(メモリーグラフ等)の設計 —— 過去の写真をファインダーに重ねること、撮影地点へ導くこと、撮れた写真をどう束ねるか。写真が撮影者のまなざしの記録であるということ。
- 2.6 三次元の計測と復元 対象を三次元で記録し、復元する。フォトグラメトリ、レーザースキャニング、点群、そして近年の手法。最も重要な区別は、実測に基づくモデルと推定に基づくモデルは違うということ。何を根拠にどこを補ったかを記録すること。
- 2.7 拡張現実と没入 三次元や画像を、見る人の身体と結びつける。拡張現実、仮想現実、三百六十度の映像、Web 上での三次元表示。ファインダーに過去を重ねる、空間を歩く、体験として理解させる。没入が理解に何を足し、何を隠すか。
- 2.8 特徴抽出と様式分析 画像から特徴を取り出して比べる。対象の検出、大量の部分を並べて様式を見ること、様式の比較から制作の分担を推定すること。精読と遠読の対をテキスト研究から借りたとき、画像では何が変わるか。仕組みを使って様式について何が言えるか——様式の意義、制作分担の解釈、遠読としての限界と可能性。