研究が社会と接する場面をまとめる。まず研究を開くとはどういうことかを述べ、そのうえで分野ごとの実践を見る。
6 社会のなかの実践
下位の章
- 6.1 パブリック・ヒューマニティーズ 研究を専門家の外へ開くとはどういうことか。開いたとき研究の側が何に変わるか —— 誰が問いを立てるか、誰が著者になるか、専門性はどこに残るか。デジタルによって開きやすくなったことと、開くことが研究の質に返ってくる筋道。
- 6.2 地域とともに進める 研究者が地域の人と一緒に、現地で何かをする。参加の設計 —— 誰をどう誘い、何を持ち込み、どんな機会として成立させるか(まち歩きの催し、景観をめぐる会、授業)。現地で参加者のあいだに何が起きるか —— 世代をまたいで教え合うこと、その場で記憶が引き出されること、身体を運ぶことでしか得られない理解。参加者が受け手にとどまらず主体になる構造 —— 地域を体系的に捉えること、地域をよりよく変えるエネルギー、自分の立脚地として地域と自らを結び直すこと。地域の事業者や観光組織、学校、まちづくり団体との連携と、そこで生じる摩擦。研究として成立させることと催し・授業として成立させることの両立 —— 写真展・インタビュー・トークイベントといった記憶収集の形式をどう選び、どう組み合わせるかの比較論はここで扱う。そして研究の側が地域から受け取るもの。
- 6.3 防災と災害の記憶 災害の記録と記憶に研究がどう関わるか。住民が参加するアーカイブの作り方と運営、官と学と民の連携、防災教育への接続、被災地を訪ねることをどう扱うか、そして記憶を次の世代へ渡すこと。時間が経つほど難しくなること。
- 6.4 文化遺産と国際協力 文化遺産をめぐる研究を国境をまたいで進める。海外の機関との協働、資料が分散していること、現地での調査、遺跡や場所の同定、失われた遺産の記録。誰の遺産かという問いと、記録を誰に返すか。