地図・地誌・地名をはじめとする地理情報を、研究のためのデータとしてどう作り、どう扱うかをまとめる。
1 地理情報と空間
下位の章
- 1.1 空間の表し方 位置を数値で表すとはどういうことかを述べる。緯度経度、地図投影法、測地系、そして空間を索引するための仕組み。座標系や投影法をひとつ選ぶことが何を決め、何を捨てているか。
- 1.2 地名という接点 地名は地理空間と情報空間をつなぐ接点である。情報空間・地理空間・そのふたつをつなぐ空間という三層モデルを示し、地名が識別子と座標を持つことで両空間を接続するという定式化を述べる。地名辞書(ガゼッティア)の構造、地名に識別子を与えること、典拠データとしての地名、そして住所や地名を位置に変換するジオコーディング。『日本歴史地名大系』地名項目データセット(80,502件)を代表例として紹介する。歴史地名では同じ名が違う場所を指し、違う名が同じ場所を指すことをどう扱うか。
- 1.3 時間をもつ空間 空間の境界は動く。旧国・旧郡、近世村、藩、市区町村といった単位が時代とともに変わることをデータとしてどう表すか。通時的なデータセットを作るときに何が問題になるか。時空間のデータモデルと、時代をまたいで同じ場所を指す難しさ。
- 1.4 地図資料の処理 古地図や絵図を現代の地図に合わせる。ジオレファレンスの手順、基準点の取り方、歪みと精度、そして絵図のように測量に基づかない地図をどう扱うか。主な道具とサービス、公開されている成果物。
- 1.5 地誌という資料 地域を記した資料をどう扱うか。地誌は名所図会・地域誌・案内記・買物案内・武鑑など多様な形で存在し、テキストでも画像でも現れる。地図が地理空間の情報であるのに対し、地誌は情報空間の情報であり、地名が両者を接続する。資料の類型としての地誌 —— どんな資料が地誌として使えるのか、何が記されているのか、そこから何を取り出せるのか、そして地理情報とどう結びつけるか。
- 1.6 地理データの形式と公開基盤 地理データを扱うためのファイル形式と、それを配信する基盤。ベクタとラスタ、代表的な形式の選び方、タイル配信、デスクトップ GIS。形式の選択が再利用可能性に何をするか。