まだ書けていない領域

本ガイドラインは、あるべき構造を先に定め、そこに実践知を当てて書いている。当たらなかった場所を空白として残し、隠さずここに挙げる。いずれも本ガイドラインが扱うべき範囲の内側にあり、素材となる講演や記事が集まれば節として加わる。

上空からの観測 —— 衛星画像、過去の空中写真、合成開口レーダー。入手とジオレファレンス、時系列での変化の読み取り。古地図の処理と景観の変化を扱う節に隣接するが、観測されたデータを使う実践がまだ収められていない。

空間の分析 —— 分布の読み方、集計の単位、空間統計。空間的な問いをどう立てるか。関東大震災の死亡者分布のような例はあるが、方法として述べるには足りない。

移動・経路・軌跡 —— 街道や宿場、踏査の経路、まち歩きのコース。点や面ではなく線として空間を扱うこと。

空間の物語 —— 地図に語りを載せること。地図が示せるものと、示せないもの。

資料を画像にする —— 撮影、色の管理、解像度の選択、撮影記録の残し方。デジタル化の入口にあたる判断が、本ガイドラインにはまだない。

画像の検索と生成 —— 似た画像を探すこと。生成については AI の章が扱うが、探す側が空である。

AI を検証する —— 出力の根拠をどうたどるか、誤りをどう見つけるか、再現性をどう担保するか、何をもって良いとするか。AI を使う実践が増える一方で、検証の作法がまだ言語化されていない。

データをどこに置くか —— リポジトリの選び方、日本の研究データ基盤、置いたことになる条件。研究の現場で最も多く問われることのひとつでありながら、実践知として記録されていない。

プロジェクトの設計と協働 —— 範囲の決め方、工程、費用、データ管理計画、引き継ぎ。参加者を募り、教え、品質を保ち、貢献をどう記録するか。

上に挙げたのは、節として立てるだけの素材がまだ集まっていない領域である。これとは別に、節としては置いたものの、素材が足りないために本文中で「現時点で薄い領域」と自ら述べている節がいくつかある。そちらは該当箇所で直接確認できる。

これらの空白は、知識が存在しないことを意味しない。本ガイドラインは講演を素材としているため、まだ語られていないことは記事にならず、記事にならないことは書かれない。一覧は、次に何を聞くべきかの見取り図でもある。

ガイドライン作成のためのAgentic Publishing

ガイドラインは、Agentic Publishingシステムにより作成されたものである。Agentic Publishingとは、人間が指定した構造に沿って、AIエージェントが知識ベースから記事を選び、成果物を構成するプロセスである。

ガイドライン編集者は、章節の構成(見出しなど)をマークダウン形式で指定し、各章節の内容をYAML Front Matter Block形式で指定する。これは、各章節が何を記述し、何を記述しないかを指定するものである。

Agentic Publishingシステムは、以下のような特徴を備える。

また、編集レシピとして、以下のようなファイルを管理している。

これは、素材(知識ベース)から料理(出版物)を作るノウハウを蓄積するようなものであり、生成ごとに品質が向上していくことが期待できる。