『万宝料理秘密箱 卵百珍』のレシピです。翻刻テキスト、現代語訳、現代レシピの3種類があります。すべてのレシピに翻刻テキストを用意していますが、現代語訳と現代レシピは一部のレシピに限定しています。なお画像一覧からもレシピにアクセスできます。
現代レシピ
新感覚!とろ〜り卵の柚干卵
山椒と黒ごまがアクセントに!砂糖で漬けた黄身を崩して、からめて食べる新感覚スイーツです。原典では、黄身はそのまま蒸すとしていますが、それでは固くなってしまい、食感が蒸した柚子と合わないのかなと感じられたため、砂糖漬けにして、とろ~っとした食感を楽しめるレシピにしました。 さらに原典には「紅色を中へ入ルも、一段とうつくしき」ともあったため、紅白の2色を作ってみました。
材料 | 分量 (2人分) |
---|---|
卵 | 2個 |
柚子 | 2個 |
砂糖 | 小さじ1 |
いちごジャム | 小さじ1 |
山椒 | 少々 |
黒ごま | 少々 |
(卵黄の砂糖漬け)砂糖 | 大さじ2 |
(卵黄の砂糖漬け)水 | 小さじ1 |
手順
1 | 柚子のヘタの部分を1cmほどカットし、中身を取り除き、果汁をとっておく。 | |
---|---|---|
2 | 柚子の皮を水に30分ひたし、アクをとり、2時間ほど乾燥させる。 | |
3 | 卵を1個ずつ白身と黄身にわけ、片方の白身に砂糖とゆず果汁を小さじ1加えて混ぜる。 | |
4 | もう片方の白身には、いちごジャムとゆず果汁を小さじ1加えて混ぜる。 | |
5 | 卵黄は砂糖水に漬けて、6時間くらい冷蔵庫に置いておく。 | |
6 | 耐熱のコップなどに、中身を取り除いた柚子を入れ、3または4を流し入れる。 | |
7 | 山椒と黒ごまをふりかけ、ふんわりラップをする。 | |
8 | 鍋にお湯を沸騰させ、6をいれて蓋をして弱火で10〜15分蒸す。 | |
9 | 漬けておいた卵黄をのせて完成! |
コツ・ポイント
ゆずの中身は、スプーンなどを使ってきれいに取り除き、加熱するときは、弱火でゆっくりと火を入れましょう。
レシピ概要
項目 | 内容 |
---|---|
食材分類 | 卵、果物、香辛料、米、その他 |
主な食材 | 卵、柚、黒胡麻、漬山椒、米の粉、生えんじ |
調味料 | 白砂糖 |
主な調理法 | 灰汁出し(柚子)、乾燥、せいろで蒸す |
道具 | 蛤貝(貝殻)、せいろ、苞(つと) |
主な使い方 | 取肴、台引物、吸物、平皿物、刺身、菓子碗物、茶碗物、盛こぼし物、刺身 |
現代語訳
手順
1 | 冬の柚子の上の軸付けの部分を、三分(約1センチ)ほど切る。 |
---|---|
2 | 通常のゆべしのように、中の種をハマグリ貝(スプーンで代用可)でさらい出す。 |
3 | 柚子をしばらく水に漬け、灰汁(あく)を抜く。 |
4 | 水から柚子を取り出し、しばらく乾かす。 |
5 | 柚子の中に、白砂糖を少し入れ、その上から新鮮な生卵を割り入れる。卵は黄身がつぶれないように入れる。 |
6 | 卵は、柚子の中8分目程まで入れる。 |
7 | ⑥の上に、黒胡麻を入れ、漬山椒を6・7個振り掛ける。さらにその上から、少量の米粉をバラバラと少し振り掛ける。 |
8 | 蒸籠(セイロ)でよく蒸す。 |
使い方など
使い方は取肴、台引物、吸物、平皿物、刺身、菓子碗物、茶碗物、盛こぼし物、刺身には冷まして小口切りにする。 紅色を入れると一段と美しくなる。これは、生臙脂(しょうえんじ)を湯に溶き、卵の白身に合わせて卵の中に流し込むものである。 また、寒い時期に拵え、苞(わらづとなど)に入れて干し、翌年の4・5月頃に取り出して使えば一段と良い。
翻刻テキスト
手順
1 | 冬の柚を 上のぢく付の所を 三分ばかりきり |
---|---|
2 | 常の柚干のことくに 中の核を蛤貝にてさらへ取 |
3 | しばらく水へ漬おき 柚のあくを いだし |
4 | さて取上て しばらくかわかし |
5 | 卵の新しきを 右の柚の中へ |
6 | 白砂糖を すこし入レ |
7 | 其上へ たまをわりこみ 是を黄味のみたれぬを わり入レるなり |
8 | 但し右の柚の中に 八分目ほど入レ 又其上へ 黒胡麻を入レ 漬山椒を 六ツ七ツ入レ |
9 | 其上 米の粉を すこし ばらりと ふりかけ |
10 | 蒸籠に入レ よくむすへし |
使い方など
遣ひ方は 一、取肴 一、臺ひきもの 一、すいもの 一、平さらもの 一、さしみ 一、菓子わんもの 一、茶わんもの 一、盛こぼし物 一、指身には 冷して 小口切がさねにすべし 尤紅色を中へ入ルも 一段とうつくしきものなり 是はしやうゑんじを 湯にてとき 右の玉の白味に合セわりこみし卵の中へ ながしこむなり 又寒の内に こしらへ 苞に入 干して 翌年四五月時分に 取出し 遣ひ候へは 一段とよろし
日本古典籍画像の閲覧(IIIF Curation Viewer): 画像表示 / サムネイル表示
ライセンス
『江戸料理レシピデータセット』(情報・システム研究機構 データサイエンス共同利用基盤施設 人文学オープンデータ共同利用センター作成) 『日本古典籍データセット』(国文学研究資料館所蔵)を翻案 はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンス(CC BY-SA)の下に提供されています。
ご利用の際には、例えば以下のような表示をお願いします。
『江戸料理レシピデータセット』(CODH作成) 『日本古典籍データセット』(国文研所蔵)を翻案
また可能な場合には、データ提供元であるROIS-DS人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)へのリンクをお願いします。